real world



彼らが巻き込まれているのは、普通の高校生が関わるはずの無い事だと、漠然とは感じていた。


花音ちゃんの主治医が殺されたという事で、それは確信に変わった。



「悠樹、あなたたち何に関わっているの?」



私は亡くなった『先生』の葬儀から帰って来た悠樹に尋ねた。



「知って、どうするつもりですか?」


「話しによるわね。」


「なら、話しません。」

「私が咎める様な内容なわけね。なら、簡単には引き下がらないわよ。」

「結構ですよ。花音はそれを、望まないでしょうから…」



決意を固めた瞳。


何かを守ると決めた瞳。

揺るがない、決意が見えた。



「『覚悟は、とうにしている』、か…。」


「愛さん…?」


「結婚が決まって、初めて玄三郎さんに会った日に言われた言葉よ。『君の人生を狂わせた責を負う覚悟は、とうにしている。』今のあなたと同じ目をしていた。」



私には覚悟が出来ていた。絶対に、相手を選ぶ事は出来ない事は知っていたから。


なのに彼は『狂わせた』と言った。



「咎めないから、言いなさい。一応あなたの母親だもの。知る権利はあるわ。それに、」


「なんですか?」


「…それに、私もやんちゃしたい気分なの。社長夫人って、案外退屈なのよ?」