「-ありがとうございました。」


「本当に退院するの?私としてはお勧めできないんだけどな・・・。」


「いつまでも寝ているわけにはいきませんから。」


「君は、頑張り過ぎるフシがあるからなぁ…」



私は医師の反対を押切って無理矢理退院することにした。


十羽先生の葬儀には参加したが、とてもお別れまで耐えられるはずもなかった。



「花音。車が(ちょっと派手だけど)着いたから、行こう。」


「え…。ポルシェ…の、赤…?嘘でしょ…?」



十羽先生のことから強引に現実を見せられた。


目の前にはピカピカの赤のポルシェ。…私はどこの成金なんだろう?



「ごめん。これ、愛さんのなんだ。愛さん、ああ見えてスピード狂なんだよな…」


「えーと、てことは、運転手さんは…」



嫌な予感半分、期待半分。



「…愛さんですね。」



うわぁ。的中したぁ…!