「急いでください!お願いします!」



深夜0時50分。人の家を訪問するには非常識な時間だがこの際気にしてられない。
大家さんが理解のある人でよかった。



「待っててよ、今開けるから!和彦ぉ!救急車呼びなさい!!」



鍵が開くのを待ちながらどうか生きているようにと願った。


教えたかった。


君を必要とする人は、ここにいるって事。



だから、どうか生きていてと願った。



「花音!」



「あつっ…凄い暑い。本当に花音ちゃんはいるの…?」



どこだ?部屋には明かりも付いていない。


それどころか、軽く40℃は超えているんじゃないかと思うほど暑い。



迷わず部屋に駆け込んだ。



「花音…?」



暗くてわからない。


とりあえず部屋の中をくまなく調べようとして足を進めようとした瞬間だった。





―ぐにっ…―





踏んだ。


何を?


熱いモノ。


誰が?


僕が。






「っか…の…」


「花音ちゃん!いたのかい!?」



バッと大家さんがかざしたライトにうつしだされたのは、



熱中症をおこして真っ赤になった花音だった。