『では、足を一歩ずつゆっくりと動かしてください。歩けますか?』
僕はたった今まで妹を支えていた手を放す。
恋奈は手すりを使ってゆっくりと歩きだした。
一歩、また一歩。
手すりを放し、目標としている所まで歩く。
『…よく、頑張りました。これならもうすぐ退院出来るかも知れませんね。』
「本当ですか?」
『リハビリをサボらなければですけどね。』
そう。恋奈は驚異的な回復力を見せていた。
昏睡が1年弱と、思ったより短かったためか、すぐに歩けるようになった。
記憶は、事件前後のものが戻らないままだが海斗の事はうっすらと思い出し始めている。
後遺症もない。
まさに奇跡だ。
「兄様。あの人、誰?」
「『あの人』…?あぁ、上杉さん。上杉 友香さん。会った事あったろ?」
たしか、ある会社の創立パーティーで挨拶した。
あの頃の僕はすっかりすさんでいて、どの令嬢もはねつけていたけど。
あ、でも上杉はとても令嬢とは思えないほど浮いていたから、少し会話を楽しんだっけ。
僕はたった今まで妹を支えていた手を放す。
恋奈は手すりを使ってゆっくりと歩きだした。
一歩、また一歩。
手すりを放し、目標としている所まで歩く。
『…よく、頑張りました。これならもうすぐ退院出来るかも知れませんね。』
「本当ですか?」
『リハビリをサボらなければですけどね。』
そう。恋奈は驚異的な回復力を見せていた。
昏睡が1年弱と、思ったより短かったためか、すぐに歩けるようになった。
記憶は、事件前後のものが戻らないままだが海斗の事はうっすらと思い出し始めている。
後遺症もない。
まさに奇跡だ。
「兄様。あの人、誰?」
「『あの人』…?あぁ、上杉さん。上杉 友香さん。会った事あったろ?」
たしか、ある会社の創立パーティーで挨拶した。
あの頃の僕はすっかりすさんでいて、どの令嬢もはねつけていたけど。
あ、でも上杉はとても令嬢とは思えないほど浮いていたから、少し会話を楽しんだっけ。