「ってぇ…!」


「軽い脳震盪(のうしんとう)で良かった。どうも手加減が利かなくてな。」


「十羽先生…!?」



僕を殴ったのは十羽先生だった。



「自分で気付くんだな。殴られた意味を。―花音ちゃん!」



花音はうずくまって泣いていた。


十羽先生が落ち着いて。と話しかけている。


顔を上げた花音と目が合った。



「いや、嫌だ!いなくならないで!大切なの!もう失いたくない!いなくならないでよ………



…悠樹君…。」



泣きそうになった。


殴られるよりずっと痛かった。



「花音ちゃん。もう大丈夫。あの人はいないよ。何もされないから…」


「嫌!嫌!嫌!」



僕はバカだ。


疑う事ばかりで、忘れてた。そう、彼女は最高の強がり屋さんだった。



「落ち着いて。苦しくなってしまうから、ほら、彼はちゃんといるから。ね?」



僕は最悪のバカだ。