何が分るんだ?


花音。


君はまだ、秘密を持っていると言うのか?


答えて。



「“あの人”…でしょう?」


『そう。“あの人”だ。お前に伝言だよ。“君の大切な人は誰?”だそうだ。』



“あの人”…?誰だ?


どうして黙ってるんだ?


“君の大切な人は誰?”


誰?




「大切なものは、全て持って行ったはずでしょ?」


『あ、忘れてた。“いつも見ている。ごまかせると思うな。”』


「…―っあ、そ、んな。今まで、ずっと…?」



顔色が変わっていく。


そんな。まさか、気付かれた?いや、嫌だ…


そんな言葉を繰り返している。


僕はただ呆然としていた。どうするべきかわからなくて。




『がっ―!』




という声がして、なぜか気絶した男が倒れると同時に、




―ドゴォ!―




頭に強烈なパンチが入った。