real world

僕達は走った。


僕は花音を担いで走った。


十羽先生は物凄い速さで複雑な道を走り込んでいた。


僕も途中で気付いたけど、僕達に続いて複数の足音がした。多分、2人ぐらいの。



「ラストスパート!頑張れ若造!」



速いよ十羽先生。


絶対元陸上選手だろ。


気が付くと足音が無くなっていた。まけたのか…?



「ストーップ!お疲れと言いたいところだけど…」


「やっぱり。まけませんでしたか。」


「悠樹君、降ろして。キツいでしょ?囲まれてるし。」



そう。囲まれている。しかも状況は思った以上に悪かった。


1、2、3…5人。多いな。


「前田君。ケンカは得意?」


「一応。特Aですから。花音、大丈夫?」


「一応。首席だし。履いてきたのスニーカーで良かった。」



2人とも慣れている様子だった。



『逃げるなよ。拘束する。』



それなら、



「「「強行突破するのみ!!」」」



かくしてもうしばらく逃走劇は続く。