よく考えたら、今日誕生日じゃん私…



また歳をとっちゃうのかぁ。


時間って早いな。


あれから、もう1年と半分。




「花音ー?大丈夫?随分遠いところに飛んでない?」



はっ!悠樹君!忘れてた!ていうか近いーーー!



「だ、大丈夫!」


「本当に?」


「本当だって!」



だから近いよーーーー!




「食欲はあるみたいだから、もう少し寝てれば治るな。あ、そうだ薬…」


「薬…?あ!診察代!診察代はどうしたの!?保険証とか…」




なかったら、かなり高かったんじゃないだろうか。



「あぁ、上杉が持ってきてくれた。それに運んだのは東郷病院だから、そんなに心配しなくても大丈夫だ。」



「東郷って…あのおっきい病院でしょ?何が大丈夫なの?」



「言ってなかったっけ?東郷は僕の生みの母の実家だよ。だから病院経営は父さんがしてんの。」





あ…そういえば愛さんは再婚相手だったっけ。


う、なんか気まずい。亡くなったお母さんの話はよそうと思って、私は無理矢理話の方向を変えた。




「そういえば妹さんいるんだよね。どんな子?やっぱ悠樹君の妹なら可愛いのかな?」



「んー…可愛いといえば可愛いかな、でも長いこと話してないから、わかんないな…」



話してない?兄妹なのに?彼は私の心を読んだかのように続けた。



「1年前、ビルから落ちて意識不明の重態。起きるかどうかは五分五分だって。」



「落ちた。ってことは自分から飛び降りた訳じゃないんだよね…」



もしかして、悠樹君も悠樹君の現実を見て、縛られているの?



「妹は…恋奈は…」



教えて?



あなたには、何が見えているの?



「誰かに、突き落とされたんだよ。」



もしあなたが現実に縛られているというのなら、



きっと解放して見せるから。