「凛ー。
今日は神社行かなくていいの?」


「・・・」


「ふぅ。
まぁいいんならいいけど。
あ、そうだ。
これまた浚に届けてきて」


私の目の前に置かれたのは浚がいつも持っているお弁当。


また忘れたのか・・・。


けど外に出る気になんてなれない。


「・・・行かない」


「いいから、お母さん忙しいから行ってきてね!」


ポイッと外に追い出される。


たくっ、人の気も知らないで・・・。


仕方なく私は行くことにした。


・・・神社に続く階段は無視した。


そして浚にお弁当を届けて・・・私は神社の階段の前で足を止めていた。


・・・どうせ上ったってもう・・・久菜はいないんだ。


けど、あれは何かの悪夢だったのかもしれない。


もしかしたら、いつものように笑顔で待ってくれているかもしれない。


・・・そう思うと私の足は自然と進んでいた。


案の定、久菜の姿はそこにはなかった。


「久菜・・・」


やっぱりあれは悪夢なんかじゃなくて、現実だったんだ・・・。


「・・・」


ふと顔を上げ前を見ると、神社のお社の前に何か落ちてあるのを見つけた。


なんとなく近づいて見てみる。


「これ・・・」


手に取ってちゃんと見てみるけど、間違いない。


これは・・・。


「久菜がしていたお面だ・・・」


最後に会ったのは昨日なのになんだかすごく懐かしく感じる。


「久菜・・・」


ギュッと久菜のお面を抱きしめた。

ねぇ、神様。


もし一つでも願いが叶うとするなら、私はもう一度久菜に会いたいです・・・。