体がガクンとなって手を引っ張られる感じがした。
「・・・!?」
気づいたら私は手を引っ張られて助かっていた。
久菜が助けてくれた?
「ありがと、久菜・・・」
「チリーン」
顔を上げると同時に鈴の音が響いた。
もしかして久菜の鈴?
「おい、中尾行こうぜ」
「お、おぉ・・・」
見ていただけだった二人は私が無事だとわかると神社から出て行った。
一体何だったんだ・・・。
ギュッと掴まれた腕に力が込められる。
「久菜?」
久菜を見ると、寂しそうに笑っていた。
「リン・・・お別れだね・・・」
「え?」
「もう二度と会えなくなるけど、リンが無事で良かった」
どういうこと・・・?
もう二度と会えなくなるって・・・。
ふと久菜の足元を見ると、うっすら透けていた。
「・・・!?」
何で!?
さっきまでちゃんと見えていたのに・・・。
「リン、黙っててごめん。
僕本当は・・・妖怪なんだ」
「よう・・・かい・・・」
「うん。
普通は人間には僕の姿が見えない狐の妖怪なんだ。
けどリンには見えてた。
それがすごく嬉しかったんだ」
狐の妖怪・・・だから狐のお面をしてるの?
「毎日話ができて楽しかった。
初めてアイスっていう美味しい食べ物も食べれた。
それは全部リンのおかげだよ。
ありがとう」
「ありがとうって・・・。
何で、何でそんな突然・・・」
「鈴、見せたでしょ?
あれ、本当は僕の代わりの心臓だったんだ。
でもリンを助ける時その鈴が落ちちゃって・・・割れちゃったんだ。
だから僕はもうこの世にはいられない」
「そんな・・・!
待ってよ!
私まだ久菜にいいたいことがいっぱい・・・!」
まだ好きって言葉も伝えられてない。
「逝かないで!
ずっと私の隣にいてよ!
ずっと・・・私の話を聞いて笑っててよ!」
ぶわっと涙が溢れ出てくる。
「私まだ久菜と離れたくない!
久菜のことが・・・好きなんだもん・・・」
「リン・・・ありがとう。
僕もリンのこと好きだよ。
今まで楽しかった。
本当に、ありがとう・・・」
優しい笑顔をして久菜は・・・私の前から消えた。
「いや・・・そんな・・・久菜ーーー!」
叫んでももうこの声はあの人には届かない。
どんなに泣いたとしても、もう二度とあの人は優しく頭を撫でてはくれない。
「うあぁぁーーー・・・」
もう・・・あの人の笑顔も見れない。
楽しみにしていた毎日は終わってしまった・・・。