「あっ」
神社に来て、最後の段を上ると、久菜が立って待っていた。
「久菜!」
「リン・・・」
「昨日どうしたの?
何かあったの?」
「・・・ごめん」
久菜はうつ向いてそれだけつぶやいた。
「・・・まぁいいや。
ね、お話しよ!」
「・・・うん!」
明るく言うと、久菜も明るくうなづいてくれた。
そしてまたいつものように石段に座って話をした。
何で昨日久菜が来なかったかなんて別に下手に干渉するつもりはない。
ただ久菜と話ができる。
それだけで嬉しいんだ。
私は徐々に、久菜に惹かれていた。
「ねぇ、リン。
もし僕と二度と会えなくなるってことになったらどうする?」
「え・・・嫌だ!
そんなの嫌だ!」
久菜と二度と会えなくなるなんて考えただけでも胸が張り裂けそうだ。
久菜の裾を強く握って必死に言った。
聞いてきた当の本人は少しびっくりしていたけど、頬を赤くして優しく微笑んでくれた。
「ありがとう。
僕もリンと会えなくなるのは嫌だな」
私の頭をなでなでと撫でてくれた。
それがなんだか嬉しくて、私も笑顔になった。
やっぱり私、久菜のことが好きなんだ・・・。
最初はめんどくさいとか思ってたけど、今じゃ会うのが楽しみなぐらい。
久菜に会えなくなるなんて考えられないよ・・・。
「リン・・・。
でもいつかは会えなくなる時がくるんだよ・・・」
「・・・ん?」
「何でもないよ。
リンは可愛いねって言っただけ」
「は、はぁ!?」
そんなことを言われたのは初めてで、恥ずかしくて私は真っ赤になりながら可愛くない反応をしてしまった。
「わ、私可愛くなんかないし」
「かわいいよ。
こうやって顔が赤くなるとことか、すごくかわいいよ」
頭を撫でながら笑顔で言う久菜。
わかって言ってるのかな・・・。
久菜がさっき何をつぶやいたのかはわからなかったけど、こうしているだけでそんなことは別によくなった。
私はこれからもずっとこうして久菜と楽しく笑い合えると思っていた。
けど・・・。