「平沢さんが、交通事故に遭われて、ここに運び込まれました」

 目の前が、真っ暗になった。



「あなた!」
「奥さん、落ち着いて」

 急いで姉に連絡して、娘のことを頼んだ後、病院に着いたのはすでに十一時半だった。
 看護師さんに案内された部屋で、夫は包帯をぐるぐる巻きにされて、機械につながれていた。

「あなた……!」

 私はあわてて彼の元へと向かった。

「処置は終わりました。あとは意識が戻れば……」

 看護師の言葉など、頭には入ってこなかった。
 ただ呆然と、夫の命の鼓動を知らせる緑色の線を見つめていた。