「ちょっと待てよ。」
今の優奈が言ったんじゃないよ?
もしかしてまきが?
ゆっくりそっちに目を向けると
まきがさきの腕を
しっかり握ってた。
「消せよ。」
ちっちゃな声でまきがいってる。
ゆっくり落ち着いた声で。
「分かったからはなせよ。」
そういって
あのさきが消しゴムを持って消し始めた。
びっくりした。
「さき!あたしも消すよ。」
さきと一緒にいた人が
さきの消しゴムを持って消し始めた。
全て消し終わったあと
さきたちがこっちにきた。
もうその時には
怖くなかった。
優奈にはまきがいるから。
さきたちとすれちがうときに
ちっちゃく
弱く聞こえた声。
「ごめん。」
その声は本当なのか
判断がつかないくらい
動揺した。
嬉しかった。
まきに感謝した。

♪キーンコーンカーンコーン♪
いいタイミングでチャイムがなった。
まきをみると
なんか泣きそうになってた。
なんでだろう?
そう思った。
まきの目線はしっかり松浦の方に向いてた。
気付けばもうみんないて
他のクラスの人もいたような…。
そっか。
まきは松浦のことが…。

だけど
まき。
大丈夫だよ??
いいことをしたんだから。
優奈のために
ありがとう。