「うん。これだけ」
「お前真面目過ぎんだろ……」
はぁ、とこれ見よがしに溜息を吐いて、辻村くんは私に背中を向けると教室に向かって歩き出した。
私もその後ろを歩く。
昨日からずっと重たかった気持ちが、すっと軽くなった。
きっと、前の彼女がどうとか、そういうことよりも。
辻村くんに変な態度とっちゃったことの方が、ずっと私の心を重くしていたんだ。
……うん、きっと、そう。
まだ少しだけ心がすっきりしないのは、この、どんより重たい湿度のせい。
身体に纏わりつく湿気が、心にも纏わりついているような。
そんな気が、するだけだ。


