辻村くんが何気なく言った言葉が。 どうしてか、胸の中に深く残った。 まるで、棘(とげ)みたい。 細く、鋭く、だけど深くまで入りこんだ、言葉の棘。 気にしなくていいはずなのに。 たとえ辻村くんに、そういう人がいたって、私が傷付く必要なんてないはずなのに。 「ここだよな。……じゃ、また明日」 「うん、送ってくれてありがと……」 「……どうした?」 傘のせいで、暗いせいで、雨のせいで。 お互いの表情はよく見えないけれど、私の声は自分でも分かるくらい、どんよりしていた。