「いいから。別に俺はそこまで切羽詰まってないっていうか、……ぶっちゃけ、もう前の学校で習ったとこだし。テスト範囲」
「藤桜こわい!!」
うちの学校だって進度めちゃくちゃ早いのに、さらに早いの!?
「え、じゃあもしかして数学とかって」
「もう数Ⅲの途中だったけど?」
「こわっ」
「だから心配される筋合いなし。日本史の他には苦手な教科ないんだろ?」
がちゃ、と部屋のドアを開けながら辻村くんは訊いてきて、私は頷いた。
「特にはないかな」
「日本史なら、長谷川の勉強見ながらでも俺もそれなりに自分の勉強できるし」


