「里桜ちゃんなら、今日部活の大会で公欠だって」
「弥代(やしろ)」
首を傾げた私に素早く助け舟を出してくれたのは、私の隣の席の、坂梨弥代(さかなし やしろ)。
ハニーブラウンのボブが似合う、可愛らしいふんわりガール。
ちなみに、私と弥代は中学からの付き合い。
「あ、そうなんだ。じゃあ、はい」
ぽい、と私の英語の教科書と問題集を手渡す。
「弥代ごめん、見せて」
「いーよー」
「ちょっと待った」
「わっ」
私の教科書を片手に持ったまま、辻村くんは、ぐっ、ともう前を向きかけていた私の肩を掴んだ。
驚いて振り返ると、まじまじと私を見る辻村くんと視線がぶつかる。
なんだなんだ?