うーん。
「おい、シカトかよ」
「何よ今ちょっと考え……、ええっ!?私!?」
後ろから話しかけられていたことに驚いて振り返る。
すると、不機嫌そうに眉をひそめた、たいそう綺麗な顔の辻村くんが私を見てい
た。
「な、何でしょうか」
「教科書、貸してくんない」
ああ、そっか。
転校してきたばっかりだから、まだ自分の教科書無いんだ。
「え、でもそういうのって隣の人に見せてもらった方がいいんじゃ」
「隣、いないんだけど」
辻村くんの言葉に、彼の隣の席をみると、たしかにいつもそこに座っているはずの里桜(りお)ちゃんの姿がない。
おやおや?