「……上手かったよ。学校の部活じゃなくて、クラブのユースに入ってサッカーやるんじゃないかと思ってたくらい。あのままいけば、地区選抜にだって選ばれるくらいの実力だったはずだけど」
「……でも、無名ですよね、辻村くん……」
私の言葉に、キャプテンは苦笑した。
「まぁ、中学のころは彼、2年生の終わりに大きな怪我してそれ以降試合も出られなかったらしいからね。藤桜のサッカー部じゃ、一度の怪我が命取りなんだろう」
「え、怪我……!?」
「知らなかった?でも、中学では仕方ないとしても、高校では環境も一応変わるんだし、去年、1年生の時に試合で見かけなかったのは、確かに不思議だね」
そう言って、キャプテンも首を傾げた。


