「……え。一紀先輩!?」 目に飛び込んできた人物に、私をはじめ部員のみんなが驚いたような、それでいて喜びの滲む声を上げた。 「あはは。久しぶり」 にこ、と穏やかな笑みを浮かべてそう言ったのは、坂上一紀(さかがみ いつき)先輩。 このサッカー部の、キャプテンだ。 それまでのゲームそっちのけで、皆がキャプテンのもとに集まっていく。 「坂上、いつ帰って来たんだよ?」 さっきまで辻村くんともめていた先輩ですら、笑顔で坂上先輩のところに駆け寄っていた。