確かに、追いつけるボールを最後まで追わなかった先輩にも非がある。 でも、彼にパスが渡らなかったら、ただでさえパターンのないうちの攻撃が本当にパワーダウン。 勝てる試合も勝てなくなる。 それはさすがに、困るんだけどな……。 どうしよう、と朱音ちゃんとも顔を見合わせた。 ……その時だった。 「ただいまー!……ってあれ、何?この空気」 張り詰めた空気に似つかわしくない間の抜けた声が響いた。 一斉に視線が声の主に向く。