今日の授業分の予習をしたノートを机から出して弥代に手渡すと、私からノートを受け取った弥代はニコッと笑い、そして再び机に向かう。


私もさっさと終わらせよう、とシャーペンを握り直した。


と、その時、肘が机の上に置いてあった消しゴムにあたり、勢いよく机から飛んでいってしまった。



あ、と思った時には遅く、コン、と一度床で跳ねた消しゴムは私の後ろに着地した。



私の、後ろ。


辻村くんのテリトリーだ。


はぁ、とため息を吐きつつ身体を横に向け、彼の足もとに落ちてしまった消しゴム手を伸ばす。


本当は「取って」って頼もうと思ったけど、なんと机に突っ伏して寝てらしたんですよ、辻村くん。



……まぁ、少しだけ見えてるプリントは当たり前みたいに埋ってるけど。