「馬鹿ねぇ」 「っ」 不意に後ろから聞こえた、心に深く響く声。 振り返らなくたって、誰かなんて分かる。 いつだって、傍にいる、俺の幼なじみだ。 いつもカッコ悪とこばっか見られて。 彼女はこんなにカッコいいのに。 ホント、情けない。 「うるさいな」 「なんでいつもそう中途半端な真似するのよ。皆と一緒に泣くか、家に帰るまで我慢するか、どっちかにしなさいよ」 「……泣かないって選択肢はないんだ」 言うと、彼女は呆れたように笑う。