緩くはだけた浴衣の胸元から覗く鎖骨が見惚れるほど綺麗な線で、だけどそんなところを見ている自分にハッとして。
長谷川は、しかし俺のそんな視線には露ほども気付いていないようだった。
相変わらずふわふわと幸せそうに笑っている。
「……ちょっと無防備すぎんじゃねーの」
気付けば、無意識のうちにそう言葉が零れていた。
一瞬置いて自分が何を口走ったかに気付いて、おそるおそる長谷川を見ると、彼女にはその言葉は届いていなかったようで、不思議そうな表情で俺を見ていた。
「何?なんて言ったのー?」
ふわっと微笑んで、「もっかい言って?」と首を傾げ、彼女は身体を寄せてきた。
熱のせいかいつもより甘い声と仕草に、いちいち心が反応する。
急に、ここに来たことに後悔を覚えた。
……こんなん、生殺しもいいとこだろ。
好きな女が目の前にいて。
自分から寄ってきてくれて。
しかも、こんな幸せそうに笑ってくれるなんて。
そんなの、理性を保てという方が無理だ。


