何も言えなくなって、体育座りのまま膝に顔をうずめた。
すると、頭を優しく撫でられる。
ちょっと遠慮がちに、だけどしっかり重みを持った掌に、一層泣きたくなった。
その優しさに、胸の奥に燻っていた罪悪感が不意によみがえってくる。
こんな、優しいのに。
分かりにくいけど、いつもはぶっきらぼうだけど。
……でも、やっぱりこの優しさは、昔からちっとも変わってない。
そんな優しい辻村くんに、私はわざわざ傷付きに行けって言っていたようなものなんだ。
彩織さんに会うことを薦めたのは、そういうことになるんだ。
「ご、ごめんね」
「はあ?何謝ってんだよ。俺が勝手に来ただけだろ」
心外、とでも言いたげな口調で、私の頭を撫でる手を止め、辻村くんはそう言った。
「そうじゃなくて!」
慌てて私は顔を上げる。
……めちゃくちゃヒドイ顔してるに決まってるけど、もういいや。


