「……しょうがないじゃん、それどころじゃなく頭痛かったんだもん」
きゅっと伸ばしていた足を縮め、体育座り。
「……辻村くん、なんで来たの?」
「……坂梨さんに聞いた」
まさかの返答に、私は思わず脇に体温計を挟もうとした体勢で固まってしまった。
「おい、変な格好で固まるなよ」
「だ……、って。辻村くん、弥代の番号知ってたの?」
辻村くんの言葉にフリーズを解除させられて、私はちょっと恥ずかしくなりながら訊く。
「……長谷川が電話出ないからだろ?仕方ないから一緒にいた班の奴から番号教えてもらったんだよ」
「……なんでそこまでして…。私が彩織さんと話すの、嫌だった?」
私が彩織さんと話すのを阻止したくて、電話してきたの?
しかし、辻村くんの口から出たのは、そんなことじゃなかった。


