「……何泣いてんだよ」
「っ!?」
すぐ後ろから聞こえた声は、どこか怒っているようにも聞こえた。
「泣いて、ない……」
振り返らずに、なんとか言葉を絞り出す。
すると、しばし黙ってしまった辻村くんだったけど、やがて小さなため息と共に「わかったよ」と言った。
「とりあえず布団戻れ。……その顔じゃまだ熱あるんだろ」
「わかんない……。測ってない」
言いながら、布団に戻る。
足を伸ばして座り、足からお腹まで布団を掛けた。
私の後についてきた辻村くんは、途中で畳の上に落ちていた体温計を拾って溜息。
「熱くらい測っとけよ」
差し出された体温計を受け取って、私は拗ねたように口元まで掛け布団の端を持ってきた。
横に座った辻村くんを睨むように見る。


