初恋シグナル~再会は恋の合図~



真二はもともと命にかかわるような大きな怪我で入院しているわけではなかったので、あと1週間もすれば退院できるだろうと言われている。


一般的に言えば入院するような怪我は大けがなのだろうが、寝たきりの患者始め大勢の入院患者を見ている彩織からすれば、真二はかなり軽傷の類に分類されると思った。



「はー、可笑しい!……真二くんが退院しちゃったら、こんなふうにお話する機会もなくなるんだね…。嬉しいけど、寂しいな」


「……別に、会えるよ。同じ学校だし」


「でも、普通科と体育科って校舎も違うし会う機会なんてないよ」


「会おうと思えば会えるから」



そう言った真二に、彩織は驚いたように顔を上げた。



まるで、そのセリフが「会いたい」と言っていくれているような気がして。



ドキンと、そのとき感じた心臓の高鳴りに、彩織は戸惑う。




「……うん」



思わず口角が上がってしまうのを抑えられずに、微笑んで彩織は頷いた。


嬉しくて、嬉しくて、仕方なかった。




……だけど。


その時、きっと終わりにしておけばよかったのだ。


高鳴った胸の鼓動なんて気付かないふりをすればよかったのだ。



入院している間だけの、話相手。



それだけにとどめておけばきっと、あんなことには、ならなかったのに────。