彩織は昔から引っ込み思案な性格が祟って、人と接っすることが苦手だった。
だから、幼なじみの湊壱は本心を見せられる、かけがえのない存在で。
親に決められた、というだけの婚約者だったけど、彼と結婚するということに抵抗はなかった。
こんな自分にこれから先、湊壱以外に自分が心から好きだと思える人があらわれるなんて、あり得ないと思っていたから。
…………そう。
これから先、自分が湊壱以外の人を好きになるなんて、思ってもいなかったから────。
「え、湊が?何それ、アホじゃん」
「だよねっ」
あはは、と病室に軽やかな笑い声が響く。
季節は年を跨ぎ、1月に入っていた。
彩織は暇さえあれば真二のところに通った。
真二は彩織にとって、湊壱以外で初めて仲良くなった男の子で。
はじめて心を許すことのできる友達だった。


