「それで湊がここの病院を薦めてきたんだ?顔が利くとか言ってたから、どんなコネだよって思ったけど……」
なるほどね、と真二は笑った。
「……鎌田さん。今、時間ある?」
パタン、と広げていた文庫本を閉じて、真二はまっすぐに彩織を見るとそう訊ねる。
「え?あ、はい、大丈夫ですけど」
「じゃあ、ちょっとここ座って」
そう言うと、真二はベッドのそばにあった丸椅子を指差した。
言われた通りに彩織がその椅子に腰かけると、真二はにっこり笑う。
「丁度読書にも飽きてたんだよね。ちょっと話相手になってよ」
「も、もちろんです!!」
……よく笑う子だな、と、その時の彩織は思った。
すごく綺麗に微笑む。
すごく穏やかな目をしてる。
自分の幼なじみの────、婚約者の、湊壱と比べても、引けをとらないくらい。


