「違うんです、私……、私も、藤桜の生徒なんですけど、その……。
一方的にあなたのこと知ってたっていうか…、湊ちゃ…、じゃなくて、佐竹くんの話で、よくあなたのこと聞いてたから」
いつもの癖で湊壱のことを“湊ちゃん”と呼びそうになって、慌てて言い直す。
彩織が一生懸命言葉を紡ぐと、拙いセリフにも真二は「ああ」と微笑んだ。
「湊の、カノジョ?」
「えっ、カノ……!?ち、違います!あの……、幼なじみっていうか…」
「照れなくてもいいのに」
「照れてないですっ!!」
ぶんぶんと首を振る彩織に、真二はふわりと笑った。
「あれ、でも湊の幼なじみさんが、どうしてここに?」
「あ!そうですよね!怪しいですよね!
……私、鎌田彩織っていいます。この病院の」
「ああ……、そういうこと」
彩織が全て言うより先に、真二は納得したように頷いた。
『鎌田総合病院』
それが、この病院の名前だったからだ。


