彩織が病室に入ると、4つのベッドのうち3つにはカーテンが引かれており、どんな人がいるのかは分からなかった。
だけど、窓際のベッドに座っていた少年だけは────、真二だけは、まるで外部を遮断することなく、穏やかな顔で読書をしていた。
病室に入ってきた知らない少女に、顔を上げた真二は首を傾げ、そしてぺこりと小さく会釈をした。
自分以外の患者の見舞いだと思ったのだろう。
再び手元の本に視線を落とした。
「……あ、あの」
だから、真二のベッドに近づいて話しかけた彩織に、真二はひどく驚いた表情を浮かべていた。
「え、俺?」
「あ、あの。……藤桜高校の方ですよね?」
「そうだけど……、えっと、ごめん。どこかで会ったことあるっけ……」
申し訳なさそうな、戸惑ったような、そんな色の表情で、真二は彩織を見た。
彩織は、慌てて首を横に振る。


