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今から3年前の、12月────。
「あれ?」
たまたま通りすがった病室の入り口のネームプレートに、見覚えのある名前を見つけ、彩織は首を傾げた。
入院患者の多い外科病棟。
彩織が歩いていた廊下に並ぶのは重患者の入る個室が並ぶところではなく、比較的軽い症状の患者が数人でひとつの部屋に入っているような部屋ばかりで、割と雰囲気も明るい。
『辻村真二』
そう書かれたネームプレートに、そのとき、自分でも不思議なくらい強い力で引き寄せられた。
「失礼します……」
気付けば、そう言って病室に入っていた。
いつもなら、こんなことしない。
知ってる人を見つけたって、声をかけるようなことしないのに。


