泣きそうな顔なんてしているつもりはなかったし、もちろん触れられて嫌なんかじゃなかった。
だけど。
もしも戸惑いとは他の感情があるとしたら、それは悲しみ、だと思う。
彩織さんと関わると、いつもの辻村くんじゃないみたいになるから。
この前も、そして今日も。
それって、やっぱり彩織さんが辻村くんにとってそれだけ感情を動かす存在だってことなんでしょ?
私にこんなふうに当たるのはきっと、彩織さんに対する感情が溢れてるから。
そう思ったら、私なんか絶対に彩織さんにはかなわない気がして、すごく、悲しかった。
「……つか、長谷川は俺があいつとどうなろうと興味ねぇよな」
ふいに自嘲気味に笑った辻村くんが、掴んでいた私の手を離した。
そのまま身体を起こし、私から離れていく。


