「……それなら、ちゃんと話、するべきだと思う」
もしかしたら、話をして和解して、ふたりが縒(よ)りを戻してしまうかもしれない。
そんな不安は拭えないけど、だけどそれは私の勝手な気持ち。
辻村くんに後悔はしてほしくない。
だから、話して欲しい。
……だけど、上手くいってほしくない。
会ってほしくない。
そんな相反する想いを抑えつけて、私はなんとか辻村くんの揺れる瞳をまっすぐに見つめ返した。
「……長谷川には関係ないだろ」
私の視線から逃れるように、ふいっと顔を背け、辻村くんはそう吐き捨てた。
……関係ない。
また、そう言うの?
「関係ないよ?関係ないけど、だけど私」
最後まで言葉を紡ぐことはできなかった。
辻村くんが、そうすることを許してくれなかった。
……言葉が音になる前に、息と一緒に喉に飲み込んでしまった。
ぐるりと揺れた視界に。
背中に感じた衝撃に。
……間近に感じる、辻村くんの体温に、思考が止まって。
「え……?」


