「辻村先輩、それ……!」 ひっと息を呑む朱音ちゃんの声に、私は思わず振り返っていた。 汗だくの辻村くんの膝は、ひどくすりむけていて。 一体何度転んだんだろう。 何度、蹴られたんだろう。 そう、思ってしまう。 明らかにレベルの違う辻村くんは当然相手に徹底的にマークされていた。 それでもボールを前につなごうとしていた。 ……なのに。 どうしようもないやるせなさに、心が、温度を上げた。 それは、今までこのチームには感じたことのなかった、まぎれもない怒りだった。