さらさらとした、肩に届かないくらいの黒い髪が風に煽られ揺れている。
細い手足に、小さい顔。
大きな垂れ目がちの瞳。
小さめの整った鼻梁。
……纏っている、上品なワンピースタイプの制服がよく似合っていた。
胸元のリボンに付いた、藤と桜をモチーフにした校章がその知性を知らしめている。
……藤桜の生徒だと、一瞬で分かった。
始めは、信じられない、とでも言いたげな表情で私たちを見ていた美少女は、やがて泣きそうな顔に変わった。
「真二くん…!」
そしてもう一度、辻村くんを呼ぶ。
その声に、私たちはハッと我に返った。
「……彩織(さおり)」
辻村くんは、きっと自分でも無意識だったのだろう、呟くように彼女をそう呼んで、バツが悪そうに表情を歪めた。
瞬間、ズキッ、と胸に鋭く痛みが走る。


