「辻村くん!!」
カラオケを出たところで辻村くんを発見して、私は慌てて駆け寄った。
私の声に顔を上げた辻村くんは私の姿を認めると、驚いたように一瞬目を見開く。
「待って…っ!」
「怪我してんのに何走ってんだよ」
呆れたように辻村くんはそう言う。
「つーか、なに追っかけてきてんの」
……確かに。
私、なんで追いかけて来たんだろう。
「ああ。もしかして、俺と付き合ってるとか誤解されたのが嫌だった?
もっと否定してほしかったか?
……なら安心しろよ。あんたなんか余裕で恋愛対象外だから」
辻村くんの投げやりな言葉が胸に刺さる。
……そんなこと、思ってないのに。
「私だって…、辻村くんのこと好きじゃないよ」


