「朱音様にその着物と、

化粧を施したのは、この私めです。

どうか、お叱りは私に」


そう言って頭を下げたお菊。


でも、


「黙れお菊!

今は朱音と話しておる。

お菊は下がっておれ」


「ですが!」


「主人の命が聞けぬと申すか?」


「・・・」


「お菊さん、いいの。

私がちゃんと話をするから」


「朱音様」


私は優しい笑顔を見せた。

その顔に、ほんの少しだけ、

溜息をついたお菊は、部屋を出ていった。

・・・

お菊には何の落ち度もない。

私を少しでも楽しませてくれるために、

してくれた事。

外に出たのだって、私が言い出さなければ、

行く事はありえなかった。