「わかってくれ。

朱音を死なせるわけにはいかぬのだ。

元の国に帰すと約束したのだから」


光は、お菊の顔を見つめる。

・・・

お菊はそれに応えるように、

満面の笑みを見せた。


「源氏の君様。

このお菊の命に代えても、

朱音様はお守りいたします。

源氏の君様の大切なお方の用ですから」

そう言ったお菊。

・・・

ん?

大切なお方?

何でそんな言葉が出るの?

首を傾げる私に、

光はクスッと笑った。

・・・

「お菊、湯の用意を頼む。

朱音も疲れをとりたいだろう?」


「・・・はい」

「今すぐご用意いたします」

お菊は微笑み、部屋を出ていった。