「・・・光」

無意識に出た言葉だった。

・・・

主治医と名乗ったこの男の人は、

あまりにも光源氏に似ていた。

・・・

この現代にいるわけがない。

彼は元々架空の人物。

きっと私の見間違いだ。

・・・

「知り合いに似ていますか?」

そう言って微笑んだ光司先生。


「・・・ちょっとだけ。

ごめんなさい・・・

私の勘違いです」

そう言って苦笑いをした。

・・・

こんな所にいるはずない。

光司先生は、

白衣を着て中はワイシャツに

紺のパンツ姿。

烏帽子もつけていなければ、

はかま姿でもない。

勘違いも甚だしい・・・