ギュッ。

後ろから突然抱きしめられ、

私は身を固くした。

・・・

こんな真夜中に、

誰に言うでもなく、こっそり抜け出し、

一人でこんなところにいる私。

・・・

今私を抱きしめているのは、

一体誰なのか。

助けを呼ぼうにも、

怖くて声すら出ない。

ただ、お腹の子だけには、

何もしないでほしいと思う・・・

・・・

震える私を、

より一層抱きしめた・・・

・・・

その時、夜風が通り過ぎた。

・・・

この香り、

私は知ってる・・・

甘いのに、しつこくないこの香り…

私は目を閉じた。

抱きしめてる人が誰だかわかったから。