「…帝様」


「・・・何も言うでない。

その子は私の子だ。

これは神様から授かった、大事な子だ。

私は大丈夫だから、元気な子を産め」


・・・

そう言った帝は、

私の手をゆっくりと離し、

部屋を出ていく。

・・・

少しだけ肩が震えているのは、

悔しさ、それとも悲しみ…?

・・・

「…帝様」

ふすまを閉める時、

もう一度名を呼んだ。


・・・

「朱音。こんなになっても、

お前を愛してる私は、バカなのだろうか?」

そう言うなり、ふすまは閉ざされた。

・・・

私は何も言葉が見つからず、

ただ、

頬を涙が伝った。