「帝様」

「・・・なんだ?」

「近頃、正室様や、

他の側室様方の部屋に、

行かなくなったとか?」


「・・・」


「帝様は、常に、

姫さま方の機嫌を取ってもらわなければ・・

世継ぎである、お子も、

貴方様から離れて行ってしまいかねます」


「そんなことはわかっている」


「いえ、わかっておいででない」

「何?!」

・・・

「国づくりに、

女は必須でございます。

朱音様にうつつを抜かしていないで、

今夜から、他の姫様に

お会いなさるよう・・・」


「・・・わかった」

・・・

大老に言われ、

渋々他の部屋にも足を運ぶことにした。

前は、こんなに苦に思ったことはなかったのだが。