ゆき色



でも、なぜかいやじゃなかった。
逆に、その握られた手から伝わる何十年ぶりかのぬくもりがとても心地よかった。




「この町、出るか?二人で。」

「え?」

何言っちゃってんの?この人。
まだ、私たちあったばかりだし。しかもまだ高校生だし、出ていくにしても何処に?
お金は?
食べ物は?

「予定はない。でも、金ならある。だから、一緒に逃げよう。」

逃げる。
にげる。
ニゲル。

私は、逃げたくない。

でも、捕まる。

それだけは絶対に嫌だ。

「…。逃げる。」

「じゃ、荷物まとめたら、さっきの堤防に7時に集合な。これは俺がやっとくわ。」

「分かった。」


それから私たちは
少しの罪悪感と
少しの思い出と
少しの哀しみと
少しの期待を胸に旅立った。


私たちが出て行ったのは愛媛。
その時持っていたお金で行ける一番遠いところは愛媛だった。


私の父のことはあれからすぐニュースになった。
でも、隼人がやっておいてくれたのか、私の名前は捜査線上にでず、無事、危機を逃れた。



1週間後、私は近くの学校に隼人と一緒に行く。
同じ学校で、一応、同じクラスの予定。


でも、

時というのは恐ろしいもので、
時には残酷で
容赦なく私たちを傷つけていく。


隼人は




私が今まで体験したことないような幸せをこの短い間でくれて

私が今まで知らなかったたくさんのことをくれて

こんな何もない私に、いつも、いつもいつも







優しさをくれるんだ。






まっすぐ。
私にはないまっすぐな心で。