これが私と雪の始めての出会いで、


ただ、曲を聞かれただけだから、顔の特徴や、身長はよく分からなかった。


たけど、声は私の耳に鮮明に残っていて。
私の頭から離れてくれはしなかった。


もしかしたら私はこの時から雪の愛という鎖で繋がれてしまっていたのかもしれない。







「ただいま」

「おいっ!!お前おせーじゃねぇか。どこほっつき歩いてんだ?あ?」

はぁ。
また飲んでるよ。

ウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザい

本当に死ねばいい。


こんなお父さんも。
こんなお父さんの精子を受けて私を産んだお母さんも。









こんなお父さんに毎日抱かれる
…私も。









「おいっ‼なに突っ立ってんだ?早く脱いでこっちこい!!」


まただ。
まただ、まただ。



「…だ。」

「あ?」

「もう…、こんなのヤダっ!!」

あ、私震えてる。
こんな奴に震えてる。

あぁ、私、怖かったんだ。

10年以上もこの汚いおじさんに抱かれて来て、反抗したことは何回かあった。
でも、震えてるなんて。

…気づかなかった。


「おいっ!!お前誰に口聞いてんのか分かってんのか?」

あ、来る。
また、今日もいつもと変わらないんだ。

ドンッ!!!!!!!


「えっ!?」


「あれぇ?ハハ、家間違えちゃった。てか、なにしてんの?おじさん。それって、犯罪だよね?」

入って来た人の声はさっき曲を聞いてきた男の人とおんなじで、私の服を脱がせようとしている(認めたくないけど)お父さんを携帯のカメラで撮っている。