after rain 〜虹を待ちつづけて〜

「俺さ、中学の頃に天野を見たことがあったんだ…。」


そんなことを話し始めた。


中学の頃に？


香坂くんは続けて話した。


「天野たちの中学の体育館で、俺の中学のバスケ部と合同練習をしてた時だった。」


黙って私は香坂くんの話を聞いた。


「試合中、俺はドアの近くの壁際の方で座ってたんだ。そしたらその時、ドアの近くに立ってる天野が見えた。」


…あ、もしかして部活の合間にバスケ部を見に行ってた時のことかな…。


「まっすぐ侑を見ててさ…。そのころは侑を見てたなんて知らなかったけど…。でもあの時侑を見てたんだなって、わかったよ。」


確かに、私はバスケ部を見に行ってたけど侑ばかりを見ていた。


「その時の天野の真っ直ぐな瞳がさ、すげぇキレイでさ…。なんか、惹きつけられたんだよな……。……実はそのころから天野の事が好きだったんだ…。」