鏡の国のソナタ

「あっ。こら、駄目だったら……!」

今度こそ、卵をぐちゃぐちゃにされてはかなわないので、あわてて素奈多はキジタローを抱き上げた。

すると、卵がひとつ、素奈多の足下まで転がってきた。

素奈多は、猫を抱いたまま、卵を拾い上げる。

卵はぜんぜんつぶれていない。

ヒビも入っていなかった。

しかも、掴み上げたときの手触りが、なんとなく妙だった。

いじくりまわしていると、卵が真ん中からパカッと二つに割れた。


まるでおもちゃのようにパックリと半分に割れたのだ。



中が、からっぽだ。