鏡の国のソナタ

と、猫がゴミの山に潜り込んだせいか、卵がぐらりと揺れて地面に転がり落ちた。


うわ、割れる!


反射的に素奈多は手を出したがタッチの差で間に合わず、卵はケースから飛び出し、ころころと地面に転がり落ちた。

ぐしゃ……とつぶれるのが普通だ。


あれ?


思いのほか、その卵たちは頑丈だった。

にゃぁん。

キジタローが、廃棄物のゴミの中から顔を出す。

「あぁ~……キジタロー……!」

素奈多の様子になどおかまいなしで、キジタローは自分で落とした卵を前足でつんつくとつつき始めた。