鏡の国のソナタ

焼き海苔が風で飛んで、その回収用のコーナーへ紛れ込んだ。

キジタローは、好物の海苔を追って回収用ゴミ袋の並んだ医療廃棄物の山に突進していく。

「あっ! キジタロー! そっちいっちゃ駄目……」

キジタローをおいかけていった素奈多の目に、妙な物体が映り込んだ。


卵だ。


きちんとプラスチックのケースに並べられ、丁寧にビニール袋に入れられたそれは、どこから見ても、鶏の卵だった。

少し茶色がかった色といい、艶といい、ザラザラ感といい、ちょっと高級な地鶏の卵といった感じだ。


素奈多は首をかしげてその卵に見入った。



医療廃棄物に卵?